2007年1月24日 (水)

映画「赤貧洗うがごとき」推薦文

環境経済学を研究されておられる宮本憲一大阪市立大学名誉教授から「推薦文」をいただきましたので紹介させていただきます。

         公害の原点に学ぶ

               宮本憲一

 日本の公害の原点は足尾鉱毒事件である。

 この事件は当時のすぐれた政治家であり、真の民衆の英雄であった田中正造の生涯をのぞいて語ることはできない。彼は第二回帝国議会以来、毎回鉱毒事件の解決を訴えつづけ、議員辞職後、天皇に直訴をする。それが受け入れられないと、農民の抵抗運動の中に身を投じて、文字どおり赤貧の中で窮死するのである。

 この映画はそのすさまじいばかりの田中の執念の運動と、政府と企業の横暴さを、年代を追って忠実に描いている。

 足尾鉱毒事件は最後まで抵抗した谷中村を廃村にして、渡良瀬川を遊水地にした。私はこの遊水地を歩いたが、当時の村の遺跡が干上がった草むらの中に転々と残っている。近くに村民の墓が集団でつくられているが、その中から恨みの声がいまだに湧いてくるようであった。

 いま、アスベスト問題から地球環境問題まで、あらためて環境問題の解決が問われている。この映画は、公害の本質とその被害が何百年も続くことを教え、これからの私たちの未来で何をなすべきかを教えてくれる。

             宮本憲一さんプロフィール

名古屋大学経済学部卒業後、金沢大学助教授、大阪市立大学商学部学部長(現在は名誉教授)、立命館大学産業社会学部政策科学研究科長などを歴任後、2000年に宮本研究室設立

1月24日10:00現在、当ブログへの累計アクセス数が18945(一日平均75.18)に達しました。有難うございます。

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